Japanese
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第1土曜特集 統合失調症の未来――研究と治療
臨床
統合失調症の空間疫学
-――都市性の環境要因
Spatial epidemiology of schizophrenia
――Environmental factors of urbanicity
澤井 大和
1
,
中谷 友樹
2
Yutaka SAWAI
1
,
Tomoki NAKAYA
2
1東京大学医学部附属病院精神神経科
2東北大学大学院環境科学研究科先端環境創成学専攻
キーワード:
空間疫学
,
都市社会
,
社会環境
,
遺伝子-環境相互作用
,
居住地移動
Keyword:
空間疫学
,
都市社会
,
社会環境
,
遺伝子-環境相互作用
,
居住地移動
pp.608-613
発行日 2023年8月5日
Published Date 2023/8/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28606608
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統合失調症の医学研究は従来,個体要因に焦点をあてた個体生物医学モデルが中心であった.しかし近年は,“障害” を個体と社会のミスマッチとして捉え,介入可能な環境要因を考える “社会モデル” に基づく研究も増えてきている.精神科医の立場からは,統合失調症を社会モデルで捉える学問として,空間疫学に注目している.統合失調症の対人口比の地域差を詳細に地図化すると,都市部,特にその内部の社会的に不利な地区に,明瞭な地理的集積性が認められることは古くから指摘されてきた.その説明にあたっては,地理的環境が統合失調症の病因に関係すると考える環境育成仮説と,症状がもたらす困窮状態などと関係して特定地区への居住地の選択的移動を想定する社会的漂流仮説(社会的選択仮説)の2つが既存仮説としてある.本稿では,この2つの仮説をめぐる統合失調症と都市性の関連性をめぐってなされた諸研究と得られた知見について解説している.
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