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特集 古代ゲノム学と医学の交差点
狩猟採集から農耕への生業変化
-――そのダークサイドを考える
From hunter-gathering to farming
――Its possible dark side
水野 文月
1
Fuzuki MIZUNO
1
1東邦大学医学部法医学講座
キーワード:
人口動態
,
農耕
,
トウモロコシ
,
トリプトファン
,
ビタミンB3(ナイアシン)
Keyword:
人口動態
,
農耕
,
トウモロコシ
,
トリプトファン
,
ビタミンB3(ナイアシン)
pp.278-281
発行日 2023年7月22日
Published Date 2023/7/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28604278
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「狩猟採集から農耕への生業変化によって,狩猟・採集による獲得経済から安定した食料の生産を可能とする生産経済へと移行し,人口増大へとつながっていった」とする一般論が考えられている.日本や中国における農耕栽培は,コメ,アワ,キビなど,新大陸においてはトウモロコシやジャガイモなどである.母系遺伝形質であるミトコンドリアDNA塩基配列の集団情報を用いることで,集団の個体数変動(すなわち過去の人口変動)を探ることが可能である.その結果,興味深いことに,メソアメリカでは農耕開始以降の人口増加が観察されず,逆に人口減少が検出された.本稿では,農耕開始以降の人口減少の原因として,メソアメリカにおける主要食物であるトウモロコシへの依存度の高さ,そしてトウモロコシの栄養医学的知見から,“メソアメリカにおける人口減少” を考察した.
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