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特集 異種移植の現状と展望
呼吸器分野における異種移植の現状
-――遺伝子改変ブタを用いた異種肺移植および脱細胞化気管・肺研究
Current Status of Xenotransplantation in the Respiratory Field
――Xeno-lung transplantation using genetically engineered pigs and research on decellularized trachea and lungs
土谷 智史
1,2
,
渡邉 洋之助
1
,
永安 武
1
Tomoshi TSUCHIYA
1,2
,
Hironosuke WATANABE
1
,
Takeshi NAGAYASU
1
1長崎大学大学院腫瘍外科
2富山大学呼吸器外科
キーワード:
異種移植
,
脱細胞化
,
肺移植
,
気管移植
,
遺伝子改変
Keyword:
異種移植
,
脱細胞化
,
肺移植
,
気管移植
,
遺伝子改変
pp.272-276
発行日 2022年10月22日
Published Date 2022/10/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28304272
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1980年代初頭のシクロスポリン開発やその後のタクロリムスの出現は,移植臓器生着に大きく寄与した.異種臓器は異種抗原への免疫反応制御にいまだ多くのハードルがあるが,今後,画期的な免疫抑制戦略により,医療として成立する可能性を秘めている.現在,複数の遺伝子操作を加えることで,より移植に適した異種臓器が創出されるようになっている.筆者らは,ヒトマクロファージによる直接的貪食を防ぐ因子hCD47を介した免疫抑制戦略により,ブタ-ヒヒ間異種肺移植モデルで14日までの肺グラフトの生着が可能であることを報告した.また,異種の組織骨格を利用したブタ脱細胞化気管支-ラット気管移植モデル,ブタ脱細胞化気管-カニクイザル気管移植モデルにおいて,脂肪由来間葉系幹細胞による多層的な免疫抑制効果を証明した.本稿では,呼吸器系の異種移植と異種脱細胞化組織骨格の器官再建や臓器再生への使用について,筆者らの取り組んできた免疫抑制戦略を交えて示す.
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