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特集 異種移植の現状と展望
ドイツにおける異種移植研究の現状
Current state of xenotransplantation research in Germany
黒目 麻由子
1
Mayuko KUROME
1
1Chair for Molecular Animal Breeding and Biotechnology, and Center for Innovative Medical Models(CiMM), LMU Munich, Munich, Germany
1Chair for Molecular Animal Breeding and Biotechnology, and Center for Innovative Medical Models(CiMM), LMU Munich, Munich, Germany
キーワード:
異種移植
,
心臓
,
膵島
,
医療用ドナーブタ
,
ゲノム編集
Keyword:
異種移植
,
心臓
,
膵島
,
医療用ドナーブタ
,
ゲノム編集
pp.251-254
発行日 2022年10月22日
Published Date 2022/10/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28304251
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同所性異種心臓移植において,ブタの心臓に置換されたヒヒが半年以上生存したことに関する論文が科学誌『Nature』誌に掲載された.世界ではじめてブタ心臓が長期的に生命維持機能を果たすことを示したこの研究成果は,ドイツのグループによって成し遂げられ,ブタ心臓が代替臓器として移植可能であることを示した.さらに,この結果は国際心肺移植学会が提唱する臨床試験前の要求基準を満たしており,実際,2022年1月にアメリカで実施された異種心臓移植臨床試験のマイルストーンとなったことは紛れもない.慢性的なヒトドナー不足の現状はここドイツにおいても例外ではなく,移植治療を望んでいる多くの患者が待機している.この状況を打開するため,ドイツでは異種移植分野で最大級となる「コンソーシアム」を設立し,その研究に挑んでいる.先に述べた論文からもわかるように,本気度は高く,すでにプロジェクトとしては最終段階を迎えている.本稿ではドイツにおける異種移植研究の現状を紹介するとともに,筆者が所属するグループのコンソーシアム内での役割について述べる.
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