良性発作性頭位めまい症診療ガイドライン2022年版

Clinical practice guideline：benign paroxysmal positional vertigo, 2022 edition

　良性発作性頭位めまい症（BPPV）の病態は半規管内に耳石が迷入した半規管結石症，クプラ結石症であり，頭位・頭位変換眼振検査時に特徴的な病的眼振を示す．治療はその耳石を半規管内から追い出す耳石置換法である．後半規管型BPPVに対する耳石置換法であるEpley法は強く勧められる．Epley法中に乳突部バイブレーションを併用する必要はなく，Epley法後の頭部の運動制限は不要である．外側半規管型BPPV（半規管結石症）は予後がよいので耳石置換法の有効性ははっきりとは示されていないが，Gufoni法は簡便な耳石置換法であり副作用が少ないので，行うことを勧める．外側半規管型BPPV（クプラ結石症）に対するGufoni法は強く勧められる．後半規管型BPPVに対する半規管遮断術の有効性は症例集積研究から示されているが，その有効性を示すランダム化比較試験は存在しない．外側半規管型BPPVや前半規管型BPPVに対する半規管遮断術の報告はきわめて少ない．