Japanese
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TOPICS 循環器内科学
潰瘍性大腸炎治療薬の青黛が肺高血圧症を惹起するメカニズム
-――reverse translational researchの実践
Mechanism of pulmonary hypertension induced by Qing-Dai for ulcerative colitis treatment
――Practice of reverse translational research
平出 貴裕
1
Takahiro HIRAIDE
1
1慶應義塾大学医学部循環器内科
pp.864-865
発行日 2022年2月19日
Published Date 2022/2/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28008864
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背景
青黛(せいたい)は植物から抽出される生薬である.近年,青黛が潰瘍性大腸炎患者において腸の炎症を抑制する作用が報告され,ランダム化比較試験でも0.5~2.0g/日の青黛を8週間摂取し有意な抗炎症効果を認めた1).しかし青黛は医薬品ではないため自己購入が可能であり,医師の指導外で青黛を過剰に摂取した患者において,肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)を副作用として合併した症例が報告された2).PAHは肺血管の内腔が狭くなり,肺血管圧が上がることで酸素の取り込みが障害され,息切れや動悸などを認める予後不良な疾患である.PAHは発症原因が不明のため国の難病に指定されており,根本的な治療薬がない疾患である.そこで筆者らは,青黛摂取ラットモデルにおいてPAHを示唆する右室肥大や肺血管形態異常等の臨床的再現性を確認し,青黛がPAHを惹起するメカニズムの解明を行った.
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