Japanese
English
特集 HPVワクチンと子宮頸がんHPV1次検診
思春期の子どもの機能性身体症状とその対応
Functional physical symptoms of adolescents and their treatment
小柳 憲司
1
Kenshi KOYANAGI
1
1長崎県立こども医療福祉センター小児心療科
キーワード:
機能性身体症状
,
心身症
,
変換症
,
起立性調節障害
,
接種ストレス関連反応(ISRR)
Keyword:
機能性身体症状
,
心身症
,
変換症
,
起立性調節障害
,
接種ストレス関連反応(ISRR)
pp.766-770
発行日 2022年2月12日
Published Date 2022/2/12
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28007766
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
機能性身体症状とは器質性疾患によらないさまざまな症状をいい,機能性身体疾患や精神疾患を基礎とする.思春期の子どもには多く,小児科領域では珍しくない病態である.心理社会的因子の影響を受けやすく,病態理解には身体的因子だけではなく,心理社会的因子の作用にも注目が必要である.ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種後にみられた諸症状も,HPVワクチン特有の反応というより,接種後の痛みに伴う反応や接種刺激による血管迷走神経性失神が子どもの抱える心理社会的因子や不安の影響で増幅されたもの,あるいは子どものもつ機能性身体疾患がワクチン接種をきっかけに増悪したものである可能性が高いと考えられる.このような症例に対応するとき,“精神的なもの” という言葉は子どもと家族を傷つける.しかし,“身体的なもの” だけにこだわっても治療は進展しない.症状の存在を否定せず,かつ心理社会的因子の関与にも目を向けさせる働きかけが重要となる.
Copyright © 2022 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.