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特集 今,数理が面白い――医学・生物学への応用
位相幾何学的アイディアによるクロマチンパターンの定量評価
Quantitative evaluation of chromatin patterns by topological ideas
中根 和昭
1
Kazuaki NAKANE
1
1大阪大学大学院医学系研究科保健学科
キーワード:
細胞診断
,
クロマチンパターン
,
ビッグデータ
,
位相幾何学
Keyword:
細胞診断
,
クロマチンパターン
,
ビッグデータ
,
位相幾何学
pp.201-204
発行日 2021年10月16日
Published Date 2021/10/16
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27903201
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細胞診断は治療方針を定めるうえで重要な情報を与える.しかし,その診断には専門的な知見が必要なため,適正な診断を行えるまでに長期で高度な訓練を必要とする.しかも病理診断の人的リソースは都市部に集中しており,郊外の医療施設において,迅速で質の高い病理診断を行えるかどうかは社会問題になっている.遠隔を含む細胞診断支援技術の開発は喫緊の課題である.現在,この種の技術は人工知能(AI)などにより活発に研究開発されているが,診断の基準となる細胞核内に分布するクロマチンは三次元的にランダムに分布しているため,いまだ有効な解析システムは開発されていない.本稿では,位相幾何学的なアイディアに基づき,クロマチンの状態を医学的知見に基づく量で数値化する.数学的には単純であるが,医師の感覚的判断が表現できているうえ,ロバスト性の高いシステムとなっている.今後,さらに研究を進め,臨床応用できるように改善していきたい.
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