連載 ユニークな実験動物を用いた医学研究・Vol.2
ウーパールーパー
-―― “蛇足” つけます!? 驚異のわがままボディ
佐藤 伸
1,2
,
樫本 玲菜
2
Akira SATOH
1,2
,
Rena KASHIMOTO
2
1岡山大学異分野融合先端研究コア
2同大学院自然科学研究科
キーワード:
ウーパールーパー
,
四肢再生
,
FGF
,
BMP
,
過剰肢付加モデル
Keyword:
ウーパールーパー
,
四肢再生
,
FGF
,
BMP
,
過剰肢付加モデル
pp.1074-1079
発行日 2021年9月18日
Published Date 2021/9/18
DOI https://doi.org/10.32118/ayu278121074
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Summary
尻尾のある両生類(有尾両生類)であるウーパールーパーは非常に高い器官再生能力を持ち,四肢をはじめ脳や尻尾,エラ,心臓に至るまでさまざまな器官の再生能力を持つ.このような高い再生能力はヒトにはもちろん観察されないことから,長年彼らの持つ再生能力は注目されてきた.とくに手足の再生は,ウーパールーパーの持つ再生能力の典型例として長く研究されてきた.200年以上もある四肢の再生研究のなかにおいて四肢に存在する神経が再生を支配することが明らかであったが,その具体的な因子はごく近年まで示されなかった.最近になって,ウーパールーパーならではの驚くべき実験系の構築によって,神経因子の同定が達成された.同定された因子は再生誘導因子として “器官普遍性” “種普遍性” を一定範囲内で備えていることも実証された.長年の謎の解明とともに,近年の研究技術革新によってウーパールーパーの再生研究は大きな研究上の転換点を迎えている.
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