案件から学ぶ医療事故の対策と問題点
プラセンタ注射後の皮下膿瘍
向井 秀樹
1
1東邦大学医療センター大橋病院皮膚科
pp.272-273
発行日 2026年3月1日
Published Date 2026/3/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000004542
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・40歳代,女性.数年前から不安,イライラ,不眠,肩凝り,肌荒れなどを主訴に受診.ストレス関連障害と診断され,抗うつ薬(SSRI)や睡眠薬内服に加えて,メルスモン®2mL 1Aを右臀部に皮下注する.説明書や同意書は取得.成人期発症のアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)を合併しているが,ステロイド外用でコントロール中.
・当初メルスモン®2mL 1Aを受診ごとに皮下注し,やや有効との患者の話より,有用性を高める目的でその後2A筋注を左臀部に施行.
・投与翌日から,注射部に痛みやしびれが出現.放置していたところ次第に増強し,加えて臀部から下肢にかけて発赤腫脹を認めるようになり投与3日後に来院.抗菌薬内服を処方.
・投与5日後,痛みや腫脹が引かず体温38℃と発熱も出始めたと担当医に電話で連絡があった.担当医は近隣の皮膚科受診を指示.受診したところ,蜂窩織炎や皮下膿瘍などの可能性が高く,すぐに高次医療機関に紹介される.
・高次医療機関で検査の結果,白血球数増多やCRP上昇に加えて,緊急CTでも皮下から筋膜に膿瘍の貯留を認める.即日入院となり,エコーガイドで切開する.多量の膿汁とゼリー状の排液を認める.膿汁から黄色ブドウ球菌が多量に検出された.
(「経過」より)
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