特集 小児医療者のための虐待の知識
新生児期手術患者と虐待
龜山 千里
1
Chisato Kameyama
1
1総合病院土浦協同病院
pp.1162-1168
発行日 2024年11月25日
Published Date 2024/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001007
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はじめに
わが国の新生児期手術症例(日齢30以下手術)は,日本小児外科学会によると2021年は2,345症例であり,年間約2,200症例で推移している(日本小児外科学会NCD連絡委員会1))。主要疾患は鎖肛,食道閉鎖症,十二指腸閉鎖症の順に多く,出生時体重は2,500 g以上の症例が58.9%を占める一方で,1,000 g未満の超低出生体重児も11.4%に認められている(2018年統計)2)。新生児期手術症例は新生児集中治療室(neonatal intensive care unit:NICU)に入院し,手術前後の全身管理が行われることが多い。NICUへの入院や外科手術は親にとって,トラウマ体験であり,心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic Stress Disorder:PTSD)の発現と相関していることが報告されている3)。トラウマ体験やPTSDが児童虐待発生の直接的または間接的なリスク要因として複数報告され,リスク要因が重なることでボンディング(肯定的な絆)が形成されず,児童虐待の素地になる4)。
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