特集 症例から学ぶ! 小児臨床超音波
一歩先を行くための超音波活用術
〔コラム〕走査法と評価する所見:生後3か月までは脊髄の評価が十分可能である
岡村 隆徳
1
OKAMURA Takanori
1
1聖マリアンナ医科大学病院超音波診療技術部超音波センター
キーワード:
脊髄係留症候群
,
低位脊髄円錐
,
脊髄空洞症
,
終糸肥厚症
,
脊髄脂肪腫
,
終糸囊胞
Keyword:
脊髄係留症候群
,
低位脊髄円錐
,
脊髄空洞症
,
終糸肥厚症
,
脊髄脂肪腫
,
終糸囊胞
pp.442-446
発行日 2025年9月25日
Published Date 2025/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002690
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はじめに
脊髄係留症候群(tethered cord syndrome:TCS)は脊髄円錐部が硬膜内あるいは硬膜外の索状物,脂肪腫,終糸などにより下方に牽引,固定されて症状が発現する症候群1)と定義され,そのなかにはさまざまな病態が含まれる。TCSを放置すると脊髄の進展により神経細胞の虚血と代謝異常をひき起こし,非可逆的な神経障害の原因となる可能性がある2)ため,病態の早期発見,早期治療が重要となる。脊柱管内の評価に対する画像検査のgold standardがMRIであることは周知の事実であるが,検査室内での低体温や鎮静などのリスクを伴うため,MRIに先行して超音波検査(ultrasonography:US)がしばしば施行される。USで脊柱管内を明瞭に観察できるのは椎骨や椎弓の骨化が進んでいない生後3か月程度までではあるが,それ以降も乳児程度までは部分的評価が可能であり,得られる情報は少なくない。

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