特集 症例から学ぶ! 小児臨床超音波
腹部超音波検査
8.消化管 蛋白漏出性胃腸症
柏木 項介
1
,
新井 喜康
1
,
神保 圭佑
1
KASHIWAGI Kosuke
1
,
ARAI Nobuyasu
1
,
JIMBO Keisuke
1
1順天堂大学小児科
キーワード:
低蛋白血症
,
低カルシウム血症
,
腸リンパ管拡張症
,
便中α1-アンチトリプシン
Keyword:
低蛋白血症
,
低カルシウム血症
,
腸リンパ管拡張症
,
便中α1-アンチトリプシン
pp.236-241
発行日 2025年9月25日
Published Date 2025/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002640
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受診するまでの経緯
【症例】0歳5か月 女児
周産期歴,既往歴,家族歴に特記すべき事項はなく,成長・発達も正常であった。発症時の栄養方法は人工乳を使用していた。受診6日前に全身強直性けいれんを生じ前医に搬送され,血液検査で低蛋白血症(アルブミン;1.2 g/dL,IgG;62 mg/dL)と低カルシウム血症(3.8 mg/dL)を認め,前医へ入院した。身体所見として,全身に著明な浮腫がみられたが,尿検査で尿中蛋白は確認されなかった。入院後,嘔吐と水様下痢が出現し,99mTc-DTPA-human serum albumin(蛋白漏出)シンチグラフィで消化管内への核集積像が確認され,蛋白漏出性胃腸症(protein-losing enteropathy:PLE)が疑われた。絶飲食のうえ点滴管理を行ったが症状は改善せず,精査加療目的に当科へ紹介入院となった。

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