特集 小児の頭痛
各論 片頭痛以外の小児の頭痛
薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛,MOH)
永田 栄一郎
1
NAGATA Eiichiro
1
1東海大学医学部内科学系脳神経内科学
pp.191-194
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002251
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛,medication-overuse headache:MOH)は,片頭痛や緊張型頭痛の患者がトリプタンや鎮痛薬(NSAIDs)などの急性期治療薬を過剰に使用することにより,頭痛の頻度,重症度,持続時間が増加して慢性的に頭痛を起こすようになった状態であり,『国際頭痛分類第3版(ICHD-3)』1)では,二次性頭痛に分類される。以前は「薬物乱用頭痛」と和訳されていたが,『国際頭痛分類第3版β版(ICHD-3β)』より「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛,MOH)」に改められた。診断は,ICDH-3の診断基準に則り,慢性片頭痛や慢性緊張型頭痛のなかに分類されることもある。治療は原因薬剤の減量もしくは中止であるが,非常に難渋する場合が多い。小児・思春期の頭痛に関しては,「頭が痛いと頭痛薬を飲む」という習慣がついている場合があり,親や本人も頭痛薬を内服することによる安心感が得られることで,頭痛薬の使用容量が増大して,MOHに陥る場合が多い。

© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.