症例
著明な低ナトリウム血症を呈し,既往歴と全身状態から二次性偽性低アルドステロン症を疑った乳児例
島 裕子
1
,
西崎 淑美
1
,
内藤 朋巳
1
,
岩丸 良子
1
,
澁谷 聖月
1
,
萩尾 真理
1
,
井上 久美子
1
,
佐藤 大祐
1
,
松村 成一
1
,
福嶋 恵
1
,
藤永 周一郎
2
,
大山 昇一
1
SHIMA Hiroko
1
,
NISHIZAKI Yoshimi
1
,
NAITO Tomomi
1
,
IWAMARU Yoshiko
1
,
SHIBUYA Mizuki
1
,
HAGIO Mari
1
,
INOUE Kumiko
1
,
SATO Daisuke
1
,
MATSUMURA Seiichi
1
,
FUKUSHIMA Kei
1
,
FUJINAGA Shuichiro
2
,
OYAMA Shoichi
1
1済生会川口総合病院小児科
2埼玉県立小児医療センター腎臓科
pp.1015-1019
発行日 2024年6月1日
Published Date 2024/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001736
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はじめに
偽性低アルドステロン症(pseudohypoaldosteronism:PHA)は,アルドステロン分泌が正常にもかかわらず,低ナトリウム血症,高カリウム血症,代謝性アシドーシスなどアルドステロン分泌不全を疑わせる所見を呈するまれな疾患である。遺伝性疾患のPHA Ⅰ型・Ⅱ型のほかに,二次性PHAがあり,尿路奇形による圧損傷や尿路感染症による炎症に伴い二次性に腎でのアルドステロン不応性が惹起されることで発症し,続発性PHAともよばれる1)。症状は経口摂取不良や嘔吐・下痢などの消化器症状,体重増加不良など非特異的であり,電解質所見上からも診断が難しく1),内分泌検査で高レニン・アルドステロン血症を認め,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)上昇やコルチゾール低下を認めないことが診断をするうえで重要となる。しかし,これらの結果が判明するまでに日数を要することが多いことから,初診時対応は患児の臨床所見と検査結果から総合的に判断することが要求される。
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