特集 ワクチンup to date
各論
ロタウイルスワクチン 特殊な状況における接種 先天性消化管障害を有する児
大城 誠
1
OSHIRO Makoto
1
1日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院小児科
pp.1445-1446
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001091
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はじめに
経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチン(ロタワクチン)の定期接種対象外者として「先天性消化管障害を有する者(その治療が完了した者を除く。)」が,添付文書上にワクチンの接種不適当者として「腸重積症の発症を高める可能性のある未治療の先天性消化管障害(メッケル憩室等)を有する者」が,挙げられている。この先天性消化管障害を有する者としては,日本小児外科学会による5年ごとのアンケート調査1)によると,2018年に直腸肛門奇形364例,食道閉鎖症212例,十二指腸閉鎖・狭窄症202例,消化管穿孔196例,腸閉鎖・狭窄症192例,腸回転異常症176例,ヒルシュスプルング病・類縁疾患91例,臍帯ヘルニア86例,腹壁破裂76例,壊死性腸炎61例,胎便性腹膜炎60例であった。日本の出生人口から推定して1%も満たないこれらの疾患を有する児は,ロタワクチン接種の対象外と判断される可能性がある。一方,先天性消化管障害を有する児はロタウイルス感染による増悪のリスクもあるため2),感染予防のためワクチン接種に期待する側面もある。
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