特集 周産期診療コツと落とし穴
Ⅰ.母体・胎児編
(2)妊娠初期〔合併症妊娠〕
19.妊婦の歯周病を軽くみるな
菊地 恵理子
1
,
市川 智子
1
Eriko Kikuchi
1
,
Tomoko Ichikawa
1
1日本医科大学多摩永山病院女性診療科・産科
キーワード:
歯周病
,
早産
,
低出生体重児
,
全身炎症
,
妊娠高血圧症候群
Keyword:
歯周病
,
早産
,
低出生体重児
,
全身炎症
,
妊娠高血圧症候群
pp.66-68
発行日 2026年10月10日
Published Date 2026/10/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002834
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はじめに
妊婦の口腔内環境と周産期予後との関連は,近年,周産期医学領域における重要課題として注目されている。歯周病は従来,口腔局所に限局した感染性疾患と理解されてきたが,現在では全身性慢性炎症性疾患(systemic inflammatory disease)として捉えるべき病態であるとの認識が確立されつつある1)。妊娠期はホルモン環境の変化,悪阻,唾液分泌の低下,口腔ケア困難など複数の要素が重なり,歯周病が増悪しやすい状況が生じる。しかし,「妊娠中は歯科治療を避けるべきである」「麻酔やX線は危険である」といった誤解が依然存在し,結果として口腔炎症が放置され慢性炎症の負荷が増大する可能性がある。この全身炎症負荷の増加が,周産期予後に影響する可能性が指摘されている。

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