特集 周産期メンタルヘルス:最新事情
各論:産科編
精神疾患合併妊婦・授乳婦に対する薬剤師の関わり
小泉 寿子
1
KOIZUMI Hisako
1
1済生会横浜市東部病院薬剤部
pp.830-834
発行日 2025年7月10日
Published Date 2025/7/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002217
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概要
近年,出産年齢が上昇傾向にあり,病気を抱え服薬しながら出産する女性は増加している。特に精神疾患を抱える妊婦・授乳婦は多く,妊娠と薬情報センターの報告では,全国63か所にある拠点病院の「妊娠と薬外来」において,向精神薬に関する相談が半数以上を占めている1)。全国の産科病棟を有する病院でも同様に,向精神薬を服用している妊婦・授乳婦が一定数存在している。向精神薬は継続服用が必要であることが多いにもかかわらず,妊婦・授乳婦に対する投与は添付文書に有益性投与と記載されていることが一般的であり,医療者は妊婦・授乳婦に対して服薬継続の判断に迷うことが少なくない。日本病院薬剤師会は,2008年から妊娠・授乳期における薬物療法に関する高度な知識を有し,母体の健康と母乳保育の利点に配慮して胎児・乳児などの薬物有害作用に配慮した薬物療法を担う薬剤師に対して,「妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師」(以下認定薬剤師)および「妊婦・授乳婦薬物療法専門薬剤師」(以下専門薬剤師)として認定する制度を運用している。済生会横浜市東部病院(以下当院)では,2名の認定薬剤師が薬剤師外来で妊婦・授乳婦に対する相談・指導業務を行っている。

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