特集 周産期の画像診断 第3版
新生児編 Ⅳ.MRI診断 A.頭部
正期産児の低酸素性虚血性脳症―MRI画像所見を中心に
西本 雅和
1
,
早川 克己
1
,
山田 惠
1
NISHIMOTO Masakazu
1
,
HAYAKAWA Katsumi
1
,
YAMADA Kei
1
1京都府立医科大学放射線医学教室
キーワード:
低酸素性虚血性脳症
,
brain magnetic resonance imaging
,
diffusion weighted imaging
,
white matter
,
deep gray matter
Keyword:
低酸素性虚血性脳症
,
brain magnetic resonance imaging
,
diffusion weighted imaging
,
white matter
,
deep gray matter
pp.491-495
発行日 2024年12月23日
Published Date 2024/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001905
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低酸素性虚血性脳症(HIE)とは
低酸素性虚血性脳症(hypoxic ischemic encephalopathy:HIE)とはさまざまな原因により新生児仮死に陥った新生児において,脳に十分な血液や酸素が送られないために,脳がダメージを受けている状態を指す。通常,組織への血流量の低下(虚血)と,血液の酸素運搬能の低下(低酸素)の2つの病態が混在していることが多いため,低酸素性虚血性脳症とよばれる。原因として,心筋梗塞,心停止,各種ショック,窒息などが挙げられる。脳への酸素供給が途絶えると,意識は数秒以内に消失し,3~5分以上それが続けば脳障害を生じる。予後不良の予測する因子としては,自己心拍再開後24時間以内のミオクローヌス・てんかん重積状態の出現,瞳孔反応や角膜反射の消失,および3日後の運動反応の消失または四肢の異常伸展反応が挙げられる。治療としては現在エビデンスのある唯一の治療法として低体温療法が行われている。中等症または重症の低酸素性虚血性脳症の新生児に対し,出生後6時間以内に低体温療法を開始し,体温を33~34℃で72時間維持する。低体温療法を受けた新生児は,死亡率や重度の神経学的後遺症のリスクが低下することが示されているが,重篤な後遺症が残る症例も少なくない1)。
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