特集 これでわかる新生児呼吸管理2024
合併症
気管チューブ,マスク,プロングによる医療機器に関連した皮膚・顔面損傷
小寺 孝幸
1
KODERA Takayuki
1
1加古川中央市民病院小児科
pp.842-846
発行日 2024年6月10日
Published Date 2024/6/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001609
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はじめに
医療関連機器圧迫創傷(medical device related pressure ulcer:MDRPU)は「医療関連機器による圧迫で生じる皮膚ないし下床の組織損傷」と定義されている1)。新生児は,皮膚の未熟性,発汗による皮膚の浸軟,末梢循環の不安定さ,自発運動の少なさ,神経学的な反応の乏しさなどの要因からMDRPUが容易に起こりうる2)。わが国の小児専門病院におけるMDRPUの発生率は0.74%で,その約30%が非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation:NPPV)のマスク,気管チューブなどの呼吸補助機器によって生じていたことが報告されている1)。NICUでのMDRPU発生率については0.15~8%と報告により大きな差がある2,3)。この差は患者背景の違いのみでは説明できず,新生児領域でのMDRPU予防策の重要性を示唆していると思われる。本稿では,新生児の呼吸管理によって生じうるMDRPUについて,創傷の特徴および予防のための対策について述べる。
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