特集 母子感染の最新知識
各論
細菌,原虫,真菌感染症 溶連菌(GAS,GBS)
吉田 惠美子
1
,
板倉 敦夫
1
YOSHIDA Emiko
1
,
ITAKURA Atsuo
1
1順天堂大学産婦人科
pp.601-604
発行日 2024年5月10日
Published Date 2024/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001557
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A群溶血性連鎖球菌(group A streptococcus:GAS)感染症
1.劇症型溶血性連鎖球菌感染症(streptcoccal toxic shock syndrome:STSS)
A群溶血性連鎖球菌(group A streptococcus:GAS)を起因とする感染症は,軽度な咽頭炎から,「人食いバクテリア」ともよばれる致死的な多臓器不全まで非常に幅広い病態を呈する。STSSを含む感染症は,2010~2022年の報告では妊産婦死亡の全原因の8%を占め,産科危機的出血や肺血栓塞栓症などとともにわが国の妊産婦死亡の重要な原因に挙げられる。STSS患者数は2023年後半以降急増に転じ1999年の調査開始以来最多となっており,今後の妊産婦感染の増加が危惧される。妊産婦STSSは急激な発症と進行を伴う致死率の高い重篤疾患であり,いかに現場でGAS感染症を想起し,適切な早期医療介入できるかが重要となる。
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