特集 胎児・新生児の消化管機能と消化管疾患
各論
胃軸捻転症
高橋 正貴
1
,
長島 俊介
1
,
小梛 地洋
1
,
岡本 眞宗
1
TAKAHASHI Masataka
1
,
NAGASHIMA Shunsuke
1
,
ONAGI Chihiro
1
,
OKAMOTO Masamune
1
1東邦大学医療センター大森病院小児外科
pp.1615-1617
発行日 2023年11月10日
Published Date 2023/11/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001158
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はじめに
胃軸捻転症は新生児・乳児においてしばしば経験するが,胃を周囲から固定する靱帯(図1)1)の未熟性や十二指腸の後腹膜固定不全が胃の捻転の原因とされている。また先天的に胃の位置が変わりやすい遊走脾,先天性横隔膜ヘルニアなどの横隔膜疾患も原因となりうる。胃が生理的範疇をこえて回転することにより消化器症状を呈する疾患であり,180度をこえるものをgastric volvolus,180度未満のものをgastric torsionとよぶ2)。胃軸捻転の形から,長軸捻転と短軸捻転および混合型に分類され(図2)3,4),症状の出方から急性,慢性,間欠性(反復性)に分類される。ほとんどは保存的加療が有効な慢性発症型の長軸捻転(臓器軸性捻転,organoaxial volvolus)であり,成長に伴って軽快する。一方で急性発症型の胃軸捻転は短軸捻転(腸間膜軸性捻転,mesenteroaxial volvulus)などともいわれていて,年長児などにみられる稀な病態であり,緊急処置を要する5)。本稿では長軸捻転について概説する。
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