特集 新型コロナウイルス感染症と周産期医療
各論
小児医療への影響 国内小児医療への影響
中村 幸嗣
1
NAKAMURA Yukitsugu
1
1聖マリアンナ医科大学小児科
pp.1518-1521
発行日 2023年10月10日
Published Date 2023/10/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001133
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はじめに
コロナウイルス感染症2019(coronavirus disease 2019:COVID-19)は重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2:SARS-CoV-2)の感染により発症する呼吸器感染症である。2019年末に中国で確認され,その後,流行は瞬く間に世界中へと広がった。わが国では2020年1月15日に国内最初の患者が報告され,2月中旬には最初の小児例が発生し,3~4月には国内最初の流行が生じ,全都道府県に緊急事態宣言が発出され,社会生活・医療体制に大きな影響が生じた1)。その後,複数回の流行を経て,2023年5月8日より「新型インフルエンザ等感染症(2類相当)」から「5類感染症」へと感染症法上の位置づけも変わり,現在に至っている。日本小児科学会感染症・予防接種委員会は,流行初期の2020年4月から,第4波,すなわちB.1.617.2系統変異株(デルタ株)流行前の2021年4月までの期間において,小児医療施設が受けた影響や,実際の診療体制の変遷などを調査するために,小児医療施設(1次医療施設27施設(回答率27%),2次医療施設19施設(回答率19%),3次医療施設72施設(回答率61%))に対して調査を行い,その結果を報告している2)。本稿では,この調査結果も含めて,COVID-19の流行によって国内の小児医療施設が受けた影響について解説する。
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