特集 見て,聞いて,触って,身体所見から考える妊産褥婦の異常とその対応
片方の下肢に浮腫と痛みがある
大場 隆
1
OHBA Takashi
1
1熊本大学大学院生命科学研究部産科婦人科学講座
pp.1148-1151
発行日 2022年8月10日
Published Date 2022/8/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000285
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はじめに
妊婦の片方の下肢に浮腫と熱感を伴った腫脹,発赤,疼痛が急性の経過をとって現れた場合,まず疑うのは下肢の深部静脈血栓症(deep venous thrombosis:DVT)である。DVTは筋膜より深い部位を走行する深部静脈に血栓が存在する病態と定義される。DVTを疑った場合は肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism:PTE)を併せて評価する必要がある。PTEの塞栓源の約90%は下肢あるいは骨盤内の静脈で形成された血栓で,一連の病態であるDVTとPTEは静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)と総称される。
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