TEESにおけるキヌタ骨摘出手順の一案

はじめに

　内視鏡の解像度向上，内視鏡手術の安全性や術後成績の蓄積を背景に，わが国における内視鏡手術の意義は増大している。内視鏡手術の最大のメリットは広角な視野の取得であるが，必ずしも操作野が十分に確保されるわけではなく，視認できても操作が難しく手術が進まない場合がある。キヌタ骨摘出はその1例で，顕微鏡手術ではキヌタ・アブミ関節やツチ・キヌタ関節が十分に視認されれば問題なく摘出できるが，内視鏡手術では耳小骨の関節が外せてもスムーズな抜去が困難となる。特に鼓室硬化症では耳小骨が固着しており，スペースの確保が一層難しくなる。