特集 耳鼻咽喉科頭頸部外科領域のサブスペシャルティ-手術指導医・専門医・相談医マニュアル-
耳科手術指導の実際
術中副損傷への対応の指導
高橋 邦行
1
Kuniyuki Takahashi
1
1宮崎大学医学部感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科
キーワード:
術中副損傷
,
乳突削開術
Keyword:
術中副損傷
,
乳突削開術
pp.1242-1246
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001311
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はじめに
側頭骨内には,鼓膜,耳小骨といった伝音器官や,蝸牛,前庭,半規管といった聴覚,平衡覚の感覚器が存在するだけでなく,顔面運動を司る顔面神経も走行する。また中耳腔は,上方に側頭葉の入る中頭蓋窩,後方は小脳が入る後頭蓋窩,S状静脈洞が存在する。それぞれの構造物の損傷により,難聴,めまい,顔面麻痺,髄液漏,大出血などが生じることがあり,損傷の程度によっては不可逆性となるため注意を要する。鼓膜のように損傷しても修復可能なものもあるが,蝸牛,前庭,半規管,顔面神経,頭蓋窩硬膜の損傷は,それを起こさないような知識,技術を習得することが大切であるとともに,損傷が生じたことにいち早く気づき,適切な処置をする必要がある。
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