特集 てこずった症例・難治症例にどう対応するか
がん
上顎洞癌で上顎拡大全摘出術を受けた25年後に対側の上顎洞癌を生じて両側失明した症例
大野 貴史
1
,
有泉 陽介
1
Takafumi Ohno
1
,
Yosuke Ariizumi
1
1東京医科歯科大学頭頸部外科
キーワード:
両側上顎洞癌
,
上顎拡大全摘術
,
両側失明
Keyword:
両側上顎洞癌
,
上顎拡大全摘術
,
両側失明
pp.1179-1182
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001282
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はじめに
上顎洞癌は頭頸部癌のうち3%の希少癌である1)。両側性の上顎洞癌は上顎洞癌症例の1%程度に生じる2,3),稀ではあるが臨床医が出会う可能性のある疾患である。通常の一側性上顎洞癌に対する標準療法は手術,放射線,化学療法の集学的治療である。上顎洞癌は初診時点で既に局所進行していることが多く,眼窩内容や視機能の温存可否が問題になる。両側性の上顎洞癌では少なくとも一側の視機能温存を目指すべきであるが,一側性上顎洞癌と比べて実施可能な治療に制限が生じるため,治療法の選択は極めて複雑になる。
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