特集 てこずった症例・難治症例にどう対応するか
耳領域
中年から高齢にかけて反復・進行した急性感音難聴症例
福田 智美
1
,
穐山 直太郎
2
Tomomi Fukuda
1
,
Naotaro Akiyama
2
1東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科
2東京歯科大学市川総合病院耳鼻咽喉科
キーワード:
一側性急性感音難聴
,
急性低音障害型感音難聴
,
中高年期
Keyword:
一側性急性感音難聴
,
急性低音障害型感音難聴
,
中高年期
pp.959-962
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001223
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はじめに
一側性急性感音難聴は初回発作の場合,突発性難聴と診断し,治療を行うことが多いと思われる。突発性難聴の診断基準は,
1)突然の発症
2)高度の感音難聴
3)原因不明
であり,発症後1ないし2カ月間のみ聴力の回復が期待でき,その後の聴力変動はないとされている1)。しかしながら,中高年期に突発性難聴と診断し,聴力が回復もしくは一定の聴力で固定した例において数カ月後から数年後に聴覚障害が反復し進行する症例を経験することがある。それらの症例には,急性低音障害型感音難聴,メニエール病,ステロイド依存性難聴,自己免疫性感音難聴などが含まれると考えられる。中年から高齢にかけて反復・進行する症例については,他疾患の発症や加齢性難聴の要素が加わること,さらには長期進行性の経過であるがゆえに治療ゴールの設定が難しく,治療方針の決定および治療法の選択に苦慮する場合も少なくない。本稿では,われわれが経験した自験例を提示し解説を加えたい。
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