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特集 腎疾患の診断と治療 最前線
V.各論4:血管系疾患における腎病変(診断と治療)
11.抗リン脂質抗体症候群
Antiphospholipid syndrome
保田 晋助
1
,
藤枝 雄一郎
2
Yasuda Shinsuke
1
,
Fujieda Yuichiro
2
1東京科学大学大学院医歯学総合研究科膠原病・リウマチ内科学分野
2北海道大学大学院医学院・医学研究院免疫・代謝内科学教室
キーワード:
抗リン脂質抗体症候群
,
抗リン脂質抗体関連腎症
,
thrombotic microangiopathy
Keyword:
抗リン脂質抗体症候群
,
抗リン脂質抗体関連腎症
,
thrombotic microangiopathy
pp.400-406
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001637
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1 はじめに
抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome:APS)は病原性をもつ自己抗体である抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibodies:aPLs)の存在下に,血栓症や妊娠合併症をはじめとする多彩な症状を引き起こす自己免疫疾患である1)。若年者における二次性血栓症の原因としては最多であるとされており,半数は全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)に合併する二次性APSで,残りの半数は原発性APSで構成される。わが国での患者数は両者あわせて1~2万人程度と推定される。長らく用いられてきたAPS分類基準である札幌クライテリア・シドニー改変では臨床症状として動静脈あるいは小血管の血栓症とさまざまな妊娠合併症が取り上げられてきたが,この度2023年American College of Radiology/European Alliance of Associations for Rheumatology(ACR/EULAR)によるAPS分類基準の改定が行われ,微小血管病変,心弁膜症および血小板減少が新たに加えられた。抗リン脂質抗体関連腎症(aPL-associated nephropathy:APLN)は血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)様の微小血栓症による腎障害と理解され,臨床症状としてはAPSのなかでも稀な病態とされてきたが(表1),ループス腎炎の腎生検サンプルを検討すると決して稀ではない。
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