Japanese
English
特集 腎疾患の診断と治療 最前線
I.総論:症候と検査値異常からみた診断へのアプローチ
9.酸塩基平衡異常
Acid-base imbalance
河原 克雅
1,2,3
,
安岡 有紀子
2
,
野々口 博史
4
Kawahara Katsumasa
1,2,3
,
Yasuoka Yukiko
2
,
Nonoguchi Hiroshi
4
1福島県立医科大学細胞生理学
2北里大学医学部生理学
3ベスリクリニック
4相模原赤十字病院腎臓内科
キーワード:
開放系の緩衝能
,
Henderson-Hasselbalch式
,
細胞内アシドーシス
,
pHセンサー
Keyword:
開放系の緩衝能
,
Henderson-Hasselbalch式
,
細胞内アシドーシス
,
pHセンサー
pp.50-57
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001573
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1 はじめに
人体を構成する約40億個の細胞の生存環境は,個体の生活環境(外界≡外部環境)ではなく,個々の細胞を潤す細胞外液(内部環境:Claude Bernard,1813~1878)である1~3)。細胞外液の量(ECF量)と物理化学的性状(イオン組成,浸透圧濃度,pH)は,神経/内分泌ホルモン系の調節下で,主に腎臓が尿を生成することで維持されている(ホメオスタシスと腎臓の役割:Walter Bradford Cannon,1871~1945;Homer W. Smith,1895~1962)1~4)。しかし,“酸塩基平衡調節”の場合,エネルギー代謝で生成される“酸”の違いにより,肺(呼吸)と腎臓(尿生成)の似て非なる“酸分泌能”が必要である。血漿pHの至適状態維持に必要な体内機能システムの役割をイラストで示した(図1)。
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