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特集 病理からせまる腎疾患の病因・病態解明
総論
糸球体病変 膜性増殖性糸球体病変からの鑑別診断・病理診断
Histological approaches and differential diagnosis for MPGN pattern of glomerular injury
益澤 尚子
1
MASUZAWA Naoko
1
1市立大津市民病院病理診断科
キーワード:
膜性増殖性糸球体病変
,
MPGNパターン
,
C3腎症
Keyword:
膜性増殖性糸球体病変
,
MPGNパターン
,
C3腎症
pp.317-322
発行日 2024年9月25日
Published Date 2024/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001448
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はじめに
“MPGN”が特定の疾患を示す診断名ではなく,糸球体傷害のパターンを示す名称であることが広く認知されるようになって久しい。現在では,膜性増殖性糸球体腎炎(membranoproliferative glomerulonephritis:MPGN)という言葉はMPGNパターンまたはMPGN様病変という言葉に置き換えられ,膜性増殖性糸球体病変を示す種々の腎炎や腎障害を包括的に表す際に用いられる1)。そして,一口にMPGNパターンといっても組織バリエーションは豊富で,含まれる疾患や病因もさまざまであり,鑑別は多岐にわたる。即ち,腎生検でMPGNパターンと病型診断することは,診断がついたことを意味するのではなく,鑑別診断の深い森の入り口に立ったことを意味している。本稿のテーマはMPGNパターンを示す病変の鑑別診断であるが,まずはMPGNパターンを認識することからはじめたい。
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