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特集 糖尿病性腎症研究の最前線
糖尿病性腎症治療における新展開
重度蛋白尿を呈する糖尿病性腎臓病に対するLDL吸着
LDL apheresis for diabetic kidney disease with severe proteinuria
日髙 寿美
1
,
小林 修三
1
HIDAKA Sumi
1
,
KOBAYASHI Shuzo
1
1湘南鎌倉総合病院腎臓病総合医療センター
キーワード:
糖尿病性腎臓病(diabetic kidney disease:DKD)
,
酸化LDL(oxidized LDL)
,
LDL受容体(LDL receptor)
,
LICENSE研究
,
SF-36
Keyword:
糖尿病性腎臓病(diabetic kidney disease:DKD)
,
酸化LDL(oxidized LDL)
,
LDL受容体(LDL receptor)
,
LICENSE研究
,
SF-36
pp.255-260
発行日 2024年2月25日
Published Date 2024/2/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001207
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はじめに
慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)および糖尿病性腎臓病(diabetic kidney disease:DKD)に対するさまざまな新規薬物療法,栄養管理,リハビリテーションなど集学的治療が充実してきた1)。それにより,DKDが原因で新規に透析導入となる患者数は,2012年には導入患者の42.2%を占めていたが,2022年には38.7%と,4%も減少してきている2)。一方,Furuichiらの検討で,腎生検後3年以内の平均推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate:eGFR)低下が5mL/min/1.73m2/年以上と定義される「eGFR低下群」では,尿中アルブミン排泄量増加と,病理組織での結節性病変とメサンギウム融解が特徴的な所見であることが明らかになり,蛋白尿の程度はDKD進展と大きく関連する3)。高度蛋白尿を呈したDKDでは,腎機能低下がより早く,短期間に末期腎不全に至るリスクがあるといわれてきたが,その進展をいかに抑制し改善するかは非常に重要な課題である。アンジオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme:ACE)阻害薬,アンジオテンシン受容体拮抗薬,さらにはナトリウム/グルコース共輸送蛋白質2(sodium/glucose cotransporter 2:SGLT2)阻害薬のDKDに対する治療効果が示され,DKDの腎予後は大きく改善しつつあるが,高度蛋白尿があり著明な浮腫を有する難治性のDKD患者はまだ多く存在する。
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