ネフローゼ症候群 診療の新たな潮流 ネフローゼ症候群の治療
LDL吸着療法
武曾 惠理
1
1田附興風会医学研究所 腎臓内科
キーワード:
Apolipoproteins B
,
Ciclosporin
,
Cytokines
,
LDL Cholesterol
,
ネフローゼ症候群
,
Steroids
,
血液成分除去法
,
抗炎症剤
,
脂質異常症
,
マクロファージ
,
薬物抵抗性
,
前向き研究
Keyword:
Anti-Inflammatory Agents
,
Blood Component Removal
,
Apolipoproteins B
,
Drug Resistance
,
Macrophages
,
Cholesterol, LDL
,
Nephrotic Syndrome
,
Prospective Studies
,
Steroids
,
Cytokines
,
Cyclosporine
,
Dyslipidemias
pp.755-759
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013356256
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難治性ネフローゼ症候群の脂質異常に対するLDL吸着療法では,とくにApoBを対象とする陰性荷電脂質の吸着で,LDL,VLDL,Lp(a)の低下により,脂質の組織障害の阻止のみならず早期の寛解導入も期待できる.効果発現機序には,脂質組織障害を仲介するマクロファージの過剰活性化を是正して,炎症サイトカインを抑制することや,薬剤抵抗性を阻止して感受性を回復することなどが考えられる.前向きの効果検討試験POLARISでは短期にネフローゼ症候群から離脱する割合は53%であり,発症2ヵ月以内の介入者のほうが有効である傾向が強かった.2年後の予後で完全寛解,不完全寛解I型に持ち込めた良好例は47.7%であり,これらのうち短期結果で有効であったものが74.9%と有意に多かった.難治性ネフローゼ症候群をきたした症例では,できるだけ早期にLDL吸着を試みてネフローゼ状態からの離脱を図ることで,約半数の例で予後良好となり,組織障害の進展を防ぐことが期待できる.
©Nankodo Co., Ltd., 2013