COVID-19感染症下での腎移植の動向

Trends in renal transplantation under the COVID-19 infection pandemic

はじめに

　重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2（severe acute respiratory syndrome coronavirus 2：SARS-CoV-2）は2019年12月に同定され，その後新型コロナウイルス感染症（coronavirus disease 2019：COVID-19）の原因であると決定された^1,2）。免疫抑制療法下にある移植患者では，COVID-19による死亡リスクは，一般集団よりも4.6倍高い^3）。そのため，多くの移植プログラムが中断され，ドナー臓器摘出手術を含む選択的手術は多くの国で一時停止された^4～6）。特に慢性的ドナー不足であるわが国では，生体腎移植（living donor kidney transplant：LDKT）が9割を占める。そのため，腎代替療法としてほかに選択肢がある生体腎移植術において制限される施設も多く見受けられた^7）。