Japanese
English
増刊号 腎代替療法のすべて
【第10章 腎移植】
4 その他 ⑥IgA腎症患者の腎移植
Kidney transplantation for patients with IgA nephropathy
猪阪 善隆
1
Isaka Yoshitaka
1
1大阪大学大学院腎臓内科学
キーワード:
移植後再発
,
IgA沈着症
,
免疫抑制薬
,
扁桃摘出術
Keyword:
移植後再発
,
IgA沈着症
,
免疫抑制薬
,
扁桃摘出術
pp.709-712
発行日 2022年6月15日
Published Date 2022/6/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000531
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はじめに
新しい免疫抑制薬の導入により,急性拒絶反応の抑制による移植腎喪失が減少しただけでなく,その結果として慢性的な移植腎の機能不全も減少し,移植腎の喪失率は減少している1,2)。糸球体腎炎は,腎移植を受けた患者の30~50%にみられる末期腎不全の根本的な原因となっており1),わが国でも2017年に腎移植を受けた3,438例の原疾患として糸球体腎炎は2,008例(58.4%)であり,IgA腎症に限っても253例(7.4%)を占める。腎代替療法を必要とする糸球体腎炎患者の場合,腎移植は透析と比較しても予後は良好である3)。以前は,移植腎での糸球体腎炎再発はグラフト喪失の大きな要因であるとは考えられていなかったが,移植腎の生着期間の延長に伴い,再発病変が移植腎の生着期間に及ぼす影響は重要になってきている。固有腎の生検と移植腎生検の両方を受けた1,505人の患者について検討した報告によると1),糸球体腎炎再発による移植腎喪失は,腎移植後10年間で3番目に頻度の高い原因であり,再発による移植腎喪失のリスクは,術後1年目の0.6%から10年目の8.4%へと,追跡年数が長くなるにつれて増加している。また,移植腎の再発率,臨床経過,および移植腎の生着への影響は,糸球体腎炎の種類によっても異なる。
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