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特集 腎臓の自動制御機構
【総論】
糸球体尿細管バランス vs. 尿細管糸球体フィードバック
Glomerulotubular balance vs. tubuloglomerular feedback
有馬 秀二
1
ARIMA Shuji
1
1近畿大学医学部 腎臓内科
キーワード:
輸出入細動脈
,
緻密斑
,
接合尿細管
,
糖尿病
,
SGLT2阻害薬
Keyword:
輸出入細動脈
,
緻密斑
,
接合尿細管
,
糖尿病
,
SGLT2阻害薬
pp.680-684
発行日 2022年11月25日
Published Date 2022/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000364
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はじめに
腎臓の最も重要な役割は,体内の老廃物を排泄することと体液の恒常性を維持することである。われわれが日常摂取する水・電解質の量はさまざまであり,日によって大きく違うことがあるにもかかわらず,体液の組成はほぼ一定に保たれて生命が維持される。これは,腎臓が水・電解質を生体に過不足がないように正確に排泄しているからである。そのためには糸球体からの限外濾過により多量の原尿が安定して作られ,尿細管各部で再吸収と排泄が適切に行われる必要がある。糸球体と尿細管の間には糸球体濾過量(GFR)の変動が下流の尿細管に波及しないようにする保護機構である糸球体尿細管バランス(glomerulotubular balance:GTB)とGFRの変動を小さくする調節機構である尿細管糸球体フィードバック(tubuloglomerular feedback:TGF)が存在する。GTBとTGFはいずれも1960年代にSchnermannら1,2)によって提唱された古くから知られた概念であるが,近年,経口糖尿病薬sodium-glucose cotransporter 2(SGLT2)阻害薬の腎保護効果機序との関係から注目されている。
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