Japanese
English
特集 COVID-19と腎臓病
【診断・治療】
抗炎症治療
Anti-inflammatory therapy
吉藤 歩
1
,
竜崎 崇和
1
YOSHIFUJI Ayumi
1
,
RYUZAKI Munekazu
1
1東京都済生会中央病院 腎臓内科
キーワード:
サイトカインストーム
,
ステロイド
,
トシリズマブ
,
バリシチニブ
Keyword:
サイトカインストーム
,
ステロイド
,
トシリズマブ
,
バリシチニブ
pp.184-189
発行日 2022年1月25日
Published Date 2022/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000032
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はじめに
新型コロナウイルスは気道上皮や肺胞上皮に発現するアンジオテンシン変換酵素Ⅱ(ACE2)を受容体として結合し,細胞に接着・侵入し,感染する。そして,潜伏期である1日~2週間を経て,発熱,咳などの症状で発症する。この時期はウイルスの増殖期であり,ウイルスの排出量が最も多い。ウイルスに感染した細胞に対して,リンパ球などの免疫系細胞が働き,ウイルスの増殖が抑制される。しかし,発症7~10日頃には,約20%の患者において,獲得免疫の過剰な活性化がみられ,炎症性サイトカインの過剰産生によるサイトカインストームをきたし,重症化する1)。サイトカインの過剰産生により,肺胞上皮細胞や間質の細胞の透過性の変化およびサーファクタントを産生する肺胞Ⅱ型上皮細胞の障害を起こし,新型コロナウイルス肺炎に特徴的なすりガラス状陰影(ground-glass shadow)をきたす。さらに,血管内皮の損傷や凝固異常が起こり,多臓器不全を引き起こし重篤化につながる1)。したがって,サイトカインストームを適切に抑制する必要がある。特に重症化しやすく,死亡率が高い腎不全患者においては,そのコントロールが予後に大きな影響を及ぼすと考えられる。
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