特集 術後内視鏡診療のすべて
消化器領域におけるfield cancerization
山田 晴美
1
,
竹島 秀幸
,
牛島 俊和
1国立がん研究センター研究所 エピゲノム解析分野
キーワード:
腫瘍-多発性原発
,
消化器腫瘍
,
DNAメチル化
,
腫瘍-第二原発
,
点変異
,
リスク評価
,
遺伝的素因(疾患)
,
発癌
,
生活史
Keyword:
Genetic Predisposition to Disease
,
Digestive System Neoplasms
,
Point Mutation
,
Risk Assessment
,
Neoplasms, Second Primary
,
DNA Methylation
,
Neoplasms, Multiple Primary
,
Carcinogenesis
pp.1281-1287
発行日 2019年9月25日
Published Date 2019/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2019397277
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同時性多発癌や異時性多発癌はしばしば経験される。その理由は、癌の背景組織は一見正常にみえても実はすでに発癌しやすい状態になっている。すなわち、field cancerization(発癌の素地)が形成されていることである。Fieldは発癌の原因となる突然変異やDNAメチル化異常が存在・蓄積することで形成される。Fieldが高度の場合は多発癌のリスクが高く、切除範囲や癌治療後のサーベイランスなどの治療方針を考えるうえで、どのような異常がどれくらい蓄積しているのかを考慮することが重要である。また、fieldに存在する点突然変異の標的配列やDNAメチル化された遺伝子を解析することで、曝露した発癌要因を推測することも可能になってきている。Field cancerizationを正しく理解することで、多発癌のリスクの診断、それをふまえた治療が可能となり、さらには癌予防につながることも期待される。
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