特集 サルコペニア・フレイルの栄養療法・運動療法
CKD存在下のサルコペニア・フレイルの栄養療法・運動療法 サルコペニア・フレイルの栄養療法と運動療法の分子生物学的統合機序
三舩 瑞夫
1
,
佐中 孜
1篠崎透析クリニック
キーワード:
Serotonin
,
シグナルトランスダクション
,
運動療法
,
酵素活性化
,
神経筋接合部
,
脳
,
筋ミトコンドリア
,
栄養管理
,
筋肉減少症
,
慢性腎臓病
,
TOR Serine-Threonine Kinases
,
セロトニン作動性ニューロン
,
Peroxisome Proliferator-Activated Receptor Gamma Coactivator 1-Alpha
,
フレイル
,
作業性筋肥大
Keyword:
Brain
,
Signal Transduction
,
Neuromuscular Junction
,
Mitochondria, Muscle
,
Peroxisome Proliferator-Activated Receptor Gamma Coactivator 1-alpha
,
Frailty
,
Enzyme Activation
,
Exercise Therapy
,
Serotonin
,
Sarcopenia
,
Serotonergic Neurons
,
TOR Serine-Threonine Kinases
,
Nutrition Therapy
,
Renal Insufficiency, Chronic
pp.455-460
発行日 2021年3月25日
Published Date 2021/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/J00714.2021211407
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サルコペニア・フレイルの予防や治療法における栄養療法と運動療法の重要性について説明した。有酸素運動によるPGC-1aの活性化は、全身性の脂質代謝を亢進させ、ミトコンドリアでの酸化的リン酸化によるATP産生を増大させるとともに、インターロイキン(IL)-6やBDGFといった抗炎症作用と成長ホルモン作用をもつマイオカインの産生を亢進させる。筋肉の肥大は、骨格筋細胞の細胞内栄養状態、同化ホルモン刺激作用、メカニカルストレスなどの細胞外からの物理的刺激という三つの細胞内外の情報が統合されたmammalian target of rapamycin(mTOR)系シグナルの増強による筋蛋白同化作用と、廃用や慢性炎症によるユビキチン-プロテアソーム系の活性化や、栄養障害によるオートファジー・リソソーム系のシグナル活性化による筋蛋白異化作用との、同化と異化のバランスにより決定されるといえる。運動は有酸素運動(PGC-1α)を介したミトコンドリアでのエネルギー産生能の増大と種々のマイオカイン(BDGF、IL-6)の分泌などを介した作用、レジスタンス運動(mTOR)を介した筋肥大作用、リズム運動やストレッチ運動を介した脳神経内神経伝達物質(セロトニン)の代謝やシグナルの改善作用から、サルコペニア・フレイルを予防する作用が期待されている。
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