症例
偶発的に発見された低酸素血症から肝肺症候群の診断にいたった1例
川崎 健太
1
,
呉 宗憲
,
武 義基
,
春日 晃子
,
三浦 太郎
,
堤 範音
,
西亦 繁雄
,
柏木 保代
,
鈴木 慎二
,
河島 尚志
1東京医科大学 小児科・思春期科学分野
キーワード:
酸素飽和度測定
,
心エコー図
,
酸素欠乏
,
肝肺症候群
,
偶発的発見
,
換気血流スキャン
,
腹部CT
Keyword:
Hepatopulmonary Syndrome
,
Oximetry
,
Echocardiography
,
Ventilation-Perfusion Scan
,
Hypoxia
,
Incidental Findings
pp.1943-1948
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00648.2022079015
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症例は14歳女児で、低酸素血症を主訴とした。網膜剥離の手術目的で入院し、偶発的に経皮的酸素飽和度(SpO2)低値を認めた。SpO2は安静時で80%台、労作時で60%台であり、腹部造影CTでは肝辺縁の萎縮と代償性の中心性肥大を認め、門脈圧亢進症の存在が疑われたほか、腹部超音波では軽度の肝線維化を、肺血流シンチグラフィーでは44%の肺内シャントを認めた。また、肺胞気-動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)の開大を伴う低酸素血症を認めたことから肝肺症候群(HPS)と診断し、A-aDO2 59mmHg、PaO2 53mmHgと重症例であったため、母をドナーとして生体肝移植が行われた。肝移植後1年経過時点でシャントは残存し、SpO2の改善はみられていない。本症例ではリスク遺伝子の解析を目的に遺伝子検査を行ったが、エクソーム解析による原疾患の同定は困難であった。
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