特集 母子感染症の必修知識-エキスパートに学び予防につなげる
各病原体の母子管理 最新の疫学情報を含めて 水痘・麻疹・ムンプス 妊娠中感染と胎児への影響
下屋 浩一郎
1
1川崎医科大学 産婦人科学1
キーワード:
ムンプス
,
水痘
,
妊娠合併症-感染性
,
麻疹
,
感染症垂直伝播
,
水痘帯状疱疹ウイルス感染症
Keyword:
Mumps
,
Measles
,
Pregnancy Complications, Infectious
,
Chickenpox
,
Infectious Disease Transmission, Vertical
,
Varicella Zoster Virus Infection
pp.115-118
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00648.2020121000
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
<Key Points>(1)妊婦の水痘初感染は重症化しやすく、ACV投与を考慮する。先天性水痘症候群(congenital varicella syndrome)をひき起こすことがあり、妊娠13週未満での発症率は0.4%であるが、妊娠13~20週では2%の発症率を呈する。(2)母体が水痘を発症して、4日以内(0~4日後)に出生するか、分娩2日以内に水痘を発症した場合は、新生児は、25~50%で出生5~10日後に新生児水痘を発症する。新生児水痘は重症化し依然として死亡率が高い。(3)妊婦が麻疹に罹患した場合、重症化しやすく、流早産のリスクが高い。生後10日以内に新生児に発疹が出現する先天性麻疹をきたすことがあるが、概ね軽症で経過する。妊娠中の麻疹感染による先天異常の発生の報告はみられない。(4)妊娠中のムンプスの罹患で流産のリスク、低出生体重児のリスクがあるが、先天奇形は報告されていない。(5)妊娠中の水痘、麻疹、ムンプスの感染予防は妊娠前のワクチンが唯一の方法である。
Copyright© 2020 tokyo-igakusha.co.jp. All rights reserved.