特集 周産期相談310 お母さんへの回答マニュアル 第3版
産科編 妊娠初期 抗リン脂質抗体症候群といわれて心配です
中尾 仁彦
1
,
中井 章人
1日本医科大学多摩永山病院 女性診療科・産科
キーワード:
Aspirin
,
Heparin
,
血栓症
,
妊娠管理
,
妊娠合併症
,
抗リン脂質抗体症候群
,
妊娠前管理
,
評価基準
Keyword:
Aspirin
,
Heparin
,
Antiphospholipid Syndrome
,
Preconception Care
,
Prenatal Care
,
Pregnancy Complications
,
Thrombosis
pp.95-98
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00621.2020088262
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<回答のポイント>1)抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid antibody syndrome:APS)とは自己免疫疾患の一つで、さまざまな部位の動・静脈血栓症や妊娠合併症(流死産・胎盤機能不全)の既往と抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibody:aPL)の検出で診断される。2)産科的APSのリスク評価は確立されていないが、血栓歴、aPLプロファイル、全身性エリテマトーデス(SLE)の合併などに注意が必要である。3)妊娠前もしくは初期からの低用量アスピリンと、予防的もしくは治療的用量のヘパリンの投与で周産期予後は改善される。ハイリスク例や治療抵抗例には免疫グロブリンやプレドニゾロンの投与も考慮される。4)産直後は抗血栓治療を再開する。血栓歴、aPLプロファイルなどによって抗血小板療法や抗凝固療法の継続が必要なほか、将来的なSLE発症に注意が必要である。5)新生児に対する特別な治療はないが、早産児や低出生体重児のためのNICU管理を必要とする頻度が増加する。
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