特集 周産期相談310 お母さんへの回答マニュアル 第3版
産科編 妊娠初期 トキソプラズマ抗体陽性といわれましたが?
松本 桂子
1
,
下屋 浩一郎
1川崎医科大学 産婦人科学1
キーワード:
IgG
,
IgM
,
Pyrimethamine
,
Spiramycin
,
Sulfadiazine
,
トキソプラズマ症
,
トキソプラズマ症-先天性
,
原虫抗体
,
感染症垂直伝播
,
妊娠合併症-寄生虫性
Keyword:
Antibodies, Protozoan
,
Pregnancy Complications, Parasitic
,
Spiramycin
,
Toxoplasmosis
,
Toxoplasmosis, Congenital
,
Immunoglobulin M
,
Immunoglobulin G
,
Pyrimethamine
,
Infectious Disease Transmission, Vertical
,
Sulfadiazine
pp.75-77
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00621.2020088254
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
<回答のポイント>1)トキソプラズマIgG抗体陰性でトキソプラズマIgM抗体陽性の場合には、2週間後にトキソプラズマIgG抗体を測定し、陽性の場合にはトキソプラズマ初感染である。陰性の場合にはトキソプラズマIgM偽陽性である。2)トキソプラズマIgG抗体陽性でトキソプラズマIgM陰性の場合は、過去の既往感染である。3)トキソプラズマIgG抗体およびトキソプラズマIgM抗体ともに陽性の場合でも、トキソプラズマIgM抗体陽性が長期間持続する妊婦(persistent IgM)がいることから、トキソプラズマIgM陽性が必ずしも最近のトキソプラズマ感染を意味しない。トキソプラズマIgM抗体陽性妊婦に対する感染時期を推定するための精査としてトキソプラズマIgGとトキソプラズマIgM抗体価の推移を行うが、感染時期の推定が困難な場合にはIgG avidityの測定が有用である。4)トキソプラズマ初感染と考えられる場合には、児への感染予防目的で分娩までスピラマイシンの投与を行う。胎児感染の診断には、羊水中のトキソプラズマ特異的遺伝子の有無についてPCR法を用いて検討する。5)胎児感染が疑われる場合にはピリメタミンとスルファジアジンの投与を考慮する。また児への感染の有無については、臍帯血中のトキソプラズマIgM抗体陽性であること、または臍帯血中のトキソプラズマIgM抗体が陰性であっても児が1歳時にトキソプラズマIgG抗体が陽性であることで診断する。新生児のトキソプラズマIgM抗体陽性の場合、1年間ピリメタミンとスルファジアジンによる治療を行う。
Copyright© 2019 tokyo-igakusha.co.jp. All rights reserved.