特集 血栓溶解療法の今
1.血栓溶解療法の基礎知識
窓岩清治
1
Seiji Madoiwa
1
1東京都済生会中央病院 臨床検査医学科 部長
pp.1381-1387
発行日 2017年9月30日
Published Date 2017/9/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201710023
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
血栓溶解反応は血管内に生じた過剰なフィブリンを除去し,臓器血流を維持するために不可欠な生体防御システムのひとつである。血栓溶解反応は線維素溶解反応としての機能を血管内で発揮するものであり,プラスミノゲンを活性化するプラスミノゲンアクチベータとフィブリン分解を担うプラスミンにより構成される。血栓溶解療法はその投与部位により,血栓溶解薬を経静脈的に全身に投与する方法と,血管内カテーテルを併用して閉塞部位局所に投与する方法に大別される。アルテプラーゼによる血栓溶解療法は,発症から4.5時間以内の脳梗塞急性期患者に対して適正治療指針に準拠した上で推奨される。急性広範型肺血栓塞栓症を対象とした無作為化多施設前向き臨床研究において,局所血栓溶解療法の優位性はみいだされていない。組織型プラスミノゲンアクチベータには,直接的な神経毒性作用があることに注意したい。