特集 造血器腫瘍の分子標的治療の進歩
5.成熟T/NK細胞リンパ腫
塚崎邦弘
1
Kunihiro Tsukasaki
1
1国立がん研究センター東病院 血液腫瘍科 科長
pp.1759-1768
発行日 2015年11月30日
Published Date 2015/11/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201512061
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皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)と末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)に大きく二分される成熟T/NK細胞リンパ腫は,多くの疾患単位からなる比較的希少な疾患群であるが,いずれも難治性である。米国FDAによりCTCLには,インターロイキン2にジフテリア毒素を結合した融合蛋白のDenileukin diftitox,活性化レチノイン酸,ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬(HDACI)のVorinostatが,PTCLには葉酸拮抗薬のPralatrexateとHDACIのRmidepsineとBelinostatが,CD30陽性の未分化大細胞型リンパ腫にはCD30を標的とする抗体薬物複合体のBrentuximab vedotinが承認されている。日本でもVorinostat とBrentuximab vedotinが最近承認された。本邦で開発された抗CCR4抗体薬のモガムリズマブは,CCR4陽性の成人T細胞白血病・リンパ腫に引き続いてPTCL/CTCLにも保険適用となった。希少疾患に対する新薬開発のサポート体制が整いつつあること,PTCL/CTCLの病態をとるATL患者が多いことから,成熟T/NK細胞リンパ腫に対する新薬の早期開発が日本でも進みつつある。