Frontier Discussion
わが国におけるゴーシェ病の病態・診断・治療の現状
坪井一哉
1
Kazuya Tsuboi
1
1名古屋セントラル病院 ライソゾーム病センター・血液内科 センター長
pp.1170-1180
発行日 2015年7月30日
Published Date 2015/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201508092
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ゴーシェ病(Gaucher disease)は,細胞内リソソームにおいて加水分解酵素であるβ-glucocerebrosidaseが遺伝的に欠損,またはその活性が低下しているため,本来分解すべき糖脂質(主にglucocerebroside)を分解できず,肝臓,脾臓,骨髄などにglucocerebrosideが蓄積する先天性代謝異常症である。そのため肝脾腫,骨症状などがみられ,わが国では現在までに約150名の患者が確認されている。臨床所見により I 型(慢性非神経型,成人型), II 型(急性神経型,乳児型), III 型(亜急性神経型,若年型)に分類され, I 型においては酵素補充療法が標準的治療法として確立されている。しかし, II 型, III 型に関しては大量の酵素を補充することにより一部に有効性が報告されているものの,神経症状を含め今後解決すべき問題点が多く,基礎研究および臨床研究には,さらなる発展が期待される。