特集 トロンボポエチン受容体作動薬の臨床応用 ~現況と展望~
2.血液疾患 4)造血幹細胞移植後の血小板減少症
堀田雅章
1
,
吉村英晃
1
,
野村昌作
2
Masaaki Hotta
1
,
Hideaki Yoshimura
1
,
Shosaku Nomura
2
1関西医科大学 内科学第一講座
2関西医科大学 内科学第一講座 教授
pp.211-216
発行日 2015年1月30日
Published Date 2015/1/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201502061
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造血幹細胞移植(HSCT)後の血小板減少(HSCT-TP)に対しては様々な対応が必要であり,治療に難渋する例も稀ではない。HSCT-TPの原因としては,ITPのような抗血小板抗体を介して血小板減少をきたす場合と,移植片対宿主病(GVHD)に関連して発症する場合が報告されている。HSCT-TPに対してTPO受容体作動薬(TPR-A)を投与した症例が報告されているが,効果が見られた症例では血小板輸血の頻度や摘脾の実施が回避されることになり,臨床上きわめて意義が大きいものと考えられる。TPR-Aとしては,注射剤のロミプロスチムと経口剤のエルトロンボパグの2種類があるが,HSCT-TPに対する使用症例の蓄積はまだ十分ではない。移植ソースの違いによるTPR-Aの使い分けや,TPR-Aの投与量・投与期間などが今後の検討課題であると思われる。