特集 赤血球造血の基礎と臨床
4.赤血球分化の決定機構
清水律子
1
Ritsuko Shimizu
1
1東北大学大学院 医学系研究科 分子血液学分野 教授
pp.559-564
発行日 2014年3月30日
Published Date 2014/3/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201404049
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造血幹細胞から赤血球が産生される過程には,複数の転写因子の協調的あるいは拮抗的な遺伝子発現制御が関与し,GATA1はその鍵となる転写因子である。GATA1自身の発現も,複数の転写因子による複雑で精緻な制御を受けて,赤血球分化の過程でダイナミックに変動している。GATA1の発現量変化や,変動によってもたらされる転写因子クロストークの変化が,多能性前駆細胞から赤血球系列への運命決定と,特異的な機能を獲得した赤血球への成熟との両方に関与し,赤血球分化を調節している。