特集 HIV感染症2013 ~現状と展望~
1.抗HIV-1宿主因子研究の最前線 1)APOBEC3
新堂啓祐
1
Keisuke Shindo
1
1京都大学大学院 医学研究科 血液・腫瘍内科学 特定助教
pp.753-757
発行日 2013年5月30日
Published Date 2013/5/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201306753
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APOBEC3は哺乳類に保存されたシチジン脱アミノ化酵素であり,HIV-1などのレトロウイルスだけでなく,複製過程で1本鎖DNAを介するB型肝炎ウイルスやトランスポゾンなど,幅広い病原体に対する強力な抑制活性を潜在的に有している。一方,多くの病原体はAPOBEC3に対する何らかの対抗手段を獲得することで,宿主での増殖や病原性の発揮を可能としている。HIV-1ではアクセサリー蛋白の一つであるVifが宿主のユビキチンリガーゼと複合体を形成し,APOBEC3のプロテアソーム分解を促すことで複製が可能となっている。