連載 記憶に残る症例(38)
診断・治療の開始時期が明暗を分けた重症複合免疫不全症の2症例
大嶋勇成
1
Yusei Ohshima
1
1福井大学医学系部門医学領域小児科学教授
pp.554-556
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201804554
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1例目は生後9カ月で縦隔気腫,呼吸不全のため当科紹介となり,X連鎖重症複合免疫不全(X-linked severe combined immunodeficiency:X-SCID)と診断,緊急で臍帯血移植を試みたが呼吸不全で死亡した。2例目は,兄が免疫不全症疑いで亡くなっていたことから,生後すぐにリンパ球サブセット解析と遺伝子検査で診断を確定し,感染徴候の出現前に移植することが出来た。SCIDの早期診断,治療の重要性を感じた症例であり,SCIDのマススクリーニングの開始が望まれる。